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人生のプロジェクト化

近い未来、仕事や趣味といったものは解体されていくのではないかと思う。そしてこれから重要になってくるのは「プロジェクト」という概念だと思う。あなたはどのプロジェクトに属していて、どんな役割をしているのか?ということが決定的に重要な世の中になると思う。

プロジェクトとは2016年の現在でいえば、地域ボランティアグループであったり、就職している企業であったり、通う大学・学部であったり、趣味の集まりであったりと様々だが、これらはすべて今後「プロジェクト」として見られるようになり、個々人はプロジェクトとの関係で評価されることになるだろう。「君はどんなプロジェクトに関わってきたの?」的な。もちろん、新規プロジェクトに入るための採用は過去にやってきたプロジェクトの内容で判断される。

人々はプロジェクトの中で友達や恋人を作ったり、やりがいを見出したり、社会階層を誇示したりするだろう。もしかすると住んでいる地域や属している会社、持っている商品といったことはあまり個人を判断するときには重要でなくなるかもしれない。さらに言うとプロジェクトはチームなので、数人レベルの「○○チーム」という単位が、プロジェクトを渡り歩き、「○○チームが○○プロジェクトに参画するらしい!」なんてことが話題になるかもしれない。

こういうことになってきた、あるいはこれから重要になる背景にあるのはなんだかんだ言って情報技術だろう。フェイスブック等で簡単になった「グループ作り」、チャットサービス等で簡単になった「メッセージング」、クラウドファンディングで形になってきた「資金調達」、もちろん背景には各ウェブサービスなら必ず存在する「個人アカウント」という概念。もちろん、ブログ等での「プレゼンテーション・PR」が可能になったこともある。まだ十分でないものといえば、プロジェクトのミッションやビジョン作り、タスクを分けていく時の便利ツールくらいだろうか。

若い人たちが何かと意識高くワイキャイやっているものは、これら「人生のプロジェクト化」の一歩だと考えればそれほど不思議でもないし、やたらとスタートアップに人気があるのも、仕事と趣味が一体化しつつあるというトレンドも不思議ではないだろう。そうだとするならば、いかにそのプロジェクトを魅力的なものに見せるか――社会的な意義なのか、メンバーの魅力なのか、お金を生むということなのか――が重要になってくるのかもしれない。