β2

なぜユニクロはLifeWearと言うのか

「LifeWear」というのがよくわからなかった。わからないというより、当たり前のように聞こえた。服は生活の中にあるから、Lifeなのは当然に思えるし、個別の説明を読んでも、気持ちいいとか、あらゆる人にとか、話が大きすぎて特徴が見えてこない気がした。しかし、ユニクロの事業について思いを馳せると、しっくり来るところがある。

ユニクロZARAH&Mとまとめて語られることが多い。しかしZARAH&Mは事業の軸に「トレンド」がある。トレンドだから、次々変わるので長く着ない、遅れずにすぐに取り入れて、次のトレンドが来たら買い換える。結果としてたくさん買ってくれる。そのために匿名デザイナーが大量にいて、スピード重視で、生地の質より価格重視で、型ごとに一定の数だけを作って売り切っていく。いわばブランドファッションへの対抗軸としての、ファストファッションだ。しかしユニクロはぜんぜん違う。むしろ逆だ。

ユニクロは流行だから買われたり、流行遅れだから捨てられたりしない。ここが悩みどころで、結果的にたくさん買ってくれるという状況をつくるためには、ある人がユニクロでたくさん揃えるというのをやってもらう必要がある。ならば当然、肌着のような毎日着るものを作りたい。だから生地の機能性を売りにしようとする。ヒートテック然り、エアリズム然り。でも肌着だけでは商売が大きくならないので上着になるものも必要だ。今度は全く同じ服を毎日着てもらうわけにはいかないので、色バリエーションを揃える。柄や形は選ぶのが難しいが、色はそれほど難しくない。ユニクロのダウンを数色買ってくれるお客さんは優良顧客だ。そういう優良顧客を肯定しようとすればLifeWearと言うことになる、というか、言うしかない。

ユニクロファストファッションへの対抗軸なのだろう。毎日着るに足る、揃えて満足、言ってみれば制服に近いのかもしれない。