β2

競争の勝者は同じ性格になる問題

いろいろな業界を見ていると、「業界トップ企業は同じような性格になりがち」というのがあるように思う。端的にいうと、ライバルに対してすごく嫌らしく、顧客に対しては良いことを提供するのだけれど、実はちゃっかりと稼いでいるというような。なんか、賢いような、ずるいような、頼もしいような、いやらしい感じ。

これってどこかに理由があるのかなと考えてみると、どうも「競争にまみれている業界ではそうなりやすい」気がする。業界として周りから参入しやすかったり、伸び悩む市場にたくさん競合企業がひしめいているようなところでは、トップがそういう性格になりやすい。

新しい業界のように、たっぷりパイがまだ残っていそうなところ、伸びていそうなところ、あるいは独占的になっていて周りから参入されにくいところでは、トップがそういう性格になりにくいように思う。

皮肉だなと思うのは、周りから参入しやすい業界というのは、一般的に言えば公平な業界ということだ。公平にして競争しやすくすると、ずるい感じにならないと勝ちにくくなる。

複雑なことに、最近ではSNSやらで評判が可視化されるものだから、トップ企業のいやらしさみたいなものに対して、嫌いだ、という評判が出てくることになる。トップ企業からしてみれば、ライバルと顧客だけ見ていればよかったのが、その周りにいる大勢の観客にも気を配らなければいけなくなった感じだ。とはいえまだ「いやらしいから嫌いだ」レベルの評判でトップ企業が傾くといった事例はない。

マーケティング3.0とかソーシャルグッドとか言われるものは、「いい話だけど、儲けることとどう関係があるの?」と思ってしまうところがある。しかしおそらく、いやな企業感を出さずにいかにトップを目指していくべきかということの、ひとつの現状仮説なんだろう。

余談だけど、企業内における個人の出世競争みたいなものも相似形になっていると感じていて、成り上がる人はなんかいやらしい感じがあり、その評判が可視化されてくると違った世界が広がってくるのだろうと思う。