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黄金の三角形

フェイスブックの「いいね」ボタンは謎だった。なにがいいのだろう。すでにある「Web拍手」と何が違うのだろうと。どうやらこの「いいね」ボタン、オプトインメールを彷彿とさせる仕組みで、「いいね」すると、そこからの情報が押した人に配信される仕組みになっているらしい。メールを拡張した仕組みがうまい・・・と思ったのだがそうでもない。

そうではなくて、これは三角形の仕組みになっているのがいいのではないか、そう思えてきた。三角形のコミュニケーションというと、まさに広告を自分は思いつく。広告主、メディア、視聴者。それぞれは向き合っているが、同時に三者が立ち会っているわけではない。広告主がメディアに出稿して、視聴者はメディアを体験する。視聴者は消費者として企業と向き合う。

「いいね」ボタンを押す人は、そのコンテンツ作成者(企業であることもある)を評価しているのだけど、その様子は友達のタイムラインにも登場する。一対一でそれぞれ向き合っているようでいて、三角形ができあがっている。

大学の先生が、「人は、直接レコメンドされるといやなんです。他人がレコメンドされているのを見るのが好きなんです」とコメントしていた。これも三角形だ。

三角形は、力が均衡していると美しい。どこかの力だけが強くなると、崩れてしまって美しくない。広告主の力がメディアに対して強くなりすぎると、視聴者はメディアから離れてしまう。「いいね」ボタンも、それを押す人が友達の視線を意識しすぎると、濁ったものになってしまうだろう。何となく意識しているような、していないような、くらいがちょうどいい。

喧嘩上手は、ギャラリーの目を常に意識している。ネット上の喧嘩において、形勢が不利になり始めたと思ったら、持ちこたえたりせずに倒れるのがポイントだ。ギャラリーは、それを見て「(相手が)やりすぎだ」と感じてくれる。倒れずに持ちこたえると、逆に苦境が続いてしまう。あえて三角形を崩してみる。

子は鎹(かすがい)とはよく言ったものだと思う。夫婦に子供が加わることで、三角形がうまれ、全体が強固になる。三人いれば社会ができる、というが、三角形がきれいに成り立てばそこにはソーシャルネットワークがある、とでも言ってみようか。